妊娠初期の歯ぐきが腫れるのはなぜ?ホルモン変化と歯周病リスク
妊娠初期に歯ぐきが腫れるのはなぜ?ホルモン変化と歯周病リスク

妊娠初期の歯ぐきの腫れに悩む方が増えている背景
妊娠初期は、体内のホルモンバランスが大きく変化する時期で、女性ホルモンであるエストロゲンやプロゲステロンが増加します。これにより歯ぐきの血流が増え、炎症が起こりやすい状態になります。
同時に、つわりによる吐き気や匂いへの敏感さから歯磨きが難しくなることがあり、口腔内の細菌が増えやすくなります。こうした背景から、「歯ぐきが腫れやすい」「歯磨き時に血が出る」という相談が増えています。
さらに、妊娠期は免疫バランスが変化し、一時的に細菌に対する抵抗力が弱まることがあります。そのため、普段なら軽度で済む炎症でも、強く症状が現れることがあります。
妊娠に伴う自然な反応であることが多いですが、気になる症状が続く場合には、早めに歯科での相談を行うことで、状況に合わせたケアや予防が可能です。
体調に波がある時期だからこそ、無理は禁物です。体調の良い日や午前中の予約を選ぶと、負担を減らして受診でき、安心して口腔チェックやクリーニングを受けられます。
「痛み」「出血」「違和感」—小さな変化に潜むサイン
妊娠初期に多くみられる歯ぐきの「軽い腫れ」や「少量の出血」は、日常的によくある変化として見過ごされやすいものです。しかし、これらは歯ぐきの炎症の初期サインである場合があり、早期に気づくことで予防につながります。
歯ぐきが赤くふくらんで見える、ブラッシング時に血が混じる、歯と歯の間に違和感がある、口臭が気になるといった変化は、口腔環境が不安定になっているサインとして捉えるとよいでしょう。
ホルモン変化により毛細血管が拡張し、軽い刺激でも出血しやすくなることがあります。また、つわりの影響で食習慣が変化すると、細菌が増えやすい環境が生まれることもあります。
このような小さな変化を放置せず、早めにケアを行うことで、症状が進行しにくい状態を保てます。
セルフケアの負担が大きいときには、月1回のプロフェッショナルクリーニングを取り入れることで、お口の状態を安定させることができます。歯科ではブラッシング指導や生活習慣のアドバイスも受けられ、妊娠中のケアを無理なく続けるサポートになります。
放置するとどうなる?妊娠中の歯ぐきトラブルのリスク
歯ぐきの腫れを「妊娠中によくあること」として長期間放置すると、炎症が続き、歯肉炎から歯周炎へ進む可能性があります。歯周炎は歯を支える組織に影響を与えるため、進行すると日常生活の快適さに支障が出る場合があります。
ただし、すべての妊婦さんに重症化が起きるわけではなく、適切なケアを続けることで予防が可能です。
妊娠中に口腔ケアを行うことは、母体だけでなく、健やかな妊娠生活を送るためにも役立つとされています。症状が軽い段階でチェックすることで、安心して過ごせる期間を長く保つことができます。
不安に感じた場合は、一人で抱え込まず、歯科医師に相談してみてください。症状に合わせたアドバイスや負担の少ないケア方法を提案してもらえるため、妊娠期の口腔管理がよりスムーズに進められます。
妊娠初期の身体変化とお口の健康の関係

女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)の増加が歯ぐきに与える影響
妊娠初期には、エストロゲンとプロゲステロンといった女性ホルモンの分泌量が大幅に増加します。これらのホルモンは妊娠を維持するために欠かせませんが、同時に歯ぐきの血流を増やし、炎症が起こりやすい状態をつくります。
そのため、普段と同じブラッシングでも出血が起こりやすく、歯ぐきが赤く腫れるなどの変化を感じる方が多くなります。これらは妊娠期に見られる自然な反応であり、必ずしも重症を意味するわけではありません。
ホルモン変化は避けられないものですが、日々の丁寧なケアに加え、歯科医院での定期的なチェックやクリーニングを取り入れることで、負担を少なく健康状態を保つことができます。気になる症状が出た際には、体調の良いタイミングで早めに相談することが安心につながります。
唾液量・pH・免疫力の変化による細菌バランスの乱れ
妊娠初期は、つわりや脱水傾向により唾液量が減少し、口の中を洗い流す「自浄作用」が低下しやすくなります。唾液のpHが酸性に傾くと、歯の表面を守る再石灰化作用が弱くなるため、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
さらに、胎児を守る免疫調整により全身的に免疫力が低下し、歯ぐきの炎症が治りにくくなることもあります。
こうした状態を放置せず、こまめなうがいや保湿ケア、体調の良い時間帯のブラッシングなど、無理のない習慣を続けることが大切です。小さな積み重ねでも、炎症を軽減し、お口の健康を守ることにつながります。
つわり・食習慣の変化が歯周環境を悪化させる理由
つわりにより歯磨きがつらくなると、歯垢が蓄積しやすく、炎症悪化の原因になりやすくなります。酸味の強い食品への偏りや間食の増加も、歯の表面を溶かす酸蝕を引き起こし、歯ぐきへの負担を大きくします。
歯ブラシを口に入れると気分が悪くなる場合には、ヘッドの小さいやわらかいブラシに変える、水でゆすぐだけの日をつくる、洗口液を併用するなど、負担を減らす工夫が役立ちます。
妊娠期は「完璧を求める」よりも「できる範囲を継続する」ことが大切です。無理のないペースでケアを続けながら、必要に応じて歯科でのチェックや専門クリーニングを併用することで、安心して口腔環境を整えることができます。
「妊娠性歯肉炎」とは?歯ぐきの腫れの代表的な原因

妊娠性歯肉炎のメカニズムと発症時期
妊娠性歯肉炎とは、妊娠初期から中期にかけて多く見られる歯ぐきの炎症で、妊婦さんの約5〜7割に症状が現れるといわれています。その主な原因は、妊娠によるホルモンバランスの変化です。
エストロゲンやプロゲステロンの増加により歯ぐきの血流が増え、免疫反応が起こりやすくなることで、腫れや出血が起こりやすい状態になります。また、つわりなどによってブラッシングが難しくなることで、歯垢が蓄積しやすくなり、炎症が進行することがあります。
妊娠性歯肉炎の症状は一時的な変化によって起こることが多く、早めにケアを行うことで症状の安定が期待できる場合があります。気になる症状がある場合は、出産まで長引かせないためにも、体調の良い日を選んで一度歯科を受診することが安心につながります。
通常の歯肉炎との違いと判断のポイント
一般的な歯肉炎は、歯垢や歯石による細菌感染が主な原因ですが、妊娠性歯肉炎はホルモン変化が引き金となって生じるもので、わずかな汚れでも反応しやすくなる点が大きな違いです。
そのため、清掃状態が良くても腫れや出血が起きることがあり、症状が「急に強くなった」と感じる方も少なくありません。
多くの場合、妊娠2〜3ヶ月頃から症状が現れやすく、ホルモン分泌が活発になる中期にピークを迎えることがあります。出産後、ホルモンバランスが落ち着くと改善するケースもありますが、炎症を長期間放置すると歯周病へ進行する可能性があるため、専門的な管理が重要です。
放置した場合に起こるトラブル(歯周病・早産リスク)
妊娠性歯肉炎を放置すると、炎症が深部へ広がり、歯周病へ進行する可能性があります。歯周病が進むと、噛むときの痛みや腫れが強くなるなど、日常生活にも影響が及ぶことがあります。
また、炎症性物質が血流を通じて全身へ影響することで、早産や低体重児出産のリスクとの関連が指摘されています。
ただし、必要以上に不安になる必要はありません。妊娠中でも適切なタイミングで歯科管理を行うことで、これらのリスク低減に役立つと考えられています。
無理のない範囲で定期的なチェックや1ヶ月ごとの専門クリーニングを取り入れることで、炎症の進行を防ぎ、安心して妊娠生活を送ることができます。
妊娠初期でも歯科治療は受けられる?安全性と注意点

妊娠初期〜中期〜後期の治療タイミングとリスク
妊娠中でも、体調や治療内容に配慮すれば歯科治療を受けることは可能です。妊娠初期(〜12週)は、胎児の器官形成が進む大切な時期であり、つわりなど体調の変化が強く現れやすいため、緊急性の低い治療は無理に進めず、必要に応じた応急処置中心の対応が一般的です。
妊娠中期(13〜27週)は体調が安定しやすく、治療を受けやすい時期とされています。虫歯治療や歯石除去、軽度の歯周病治療などは、この時期に計画的に行うことが多く、口腔内を整える良いタイミングです。
一方、妊娠後期(28週以降)はお腹が大きくなり、長時間の仰向け姿勢や緊張が負担になる場合があります。予約は体調の良い日・午前中を選ぶと、身体への負担が少なく安心です。
妊娠中の歯科受診は、母体と胎児の安全を考えながら進めることができ、無理のない診療計画を立てることで、安心して治療を進めることが可能です。
レントゲン・麻酔・薬の安全性について
妊娠中の歯科治療では、「レントゲンや麻酔は赤ちゃんに影響しないか」と不安に感じる方も多いですが、歯科用レントゲンは照射範囲が非常に小さく、防護エプロンを使用することで胎児への影響はほとんどないとされています。
また、局所麻酔で一般的に使用される薬剤(リドカインなど)は、通常使用量であれば胎児への影響は少ないとされており、痛みを無理に我慢するよりも、適切に麻酔を使用した方がストレスを軽減できます。
薬の処方が必要な場合も、妊娠中に使用できる安全性の高い薬剤が選ばれるため、自己判断せず歯科医師に相談することが大切です。不安なことがあれば遠慮なく質問し、納得した上で治療を受けましょう。
歯科受診前に伝えるべきこと(妊娠週数・服薬・体調)
妊娠中に歯科を受診する際は、最初に妊娠週数・体調の変化・服用中の薬を伝えることが重要です。治療内容や姿勢の配慮が必要な場合があるため、正確な情報共有により、安全で負担の少ない診療が可能になります。
特につわりが強い時期は予約時間を調整することで負担が減るため、体調の良い日の午前中など、無理のない時間帯に受診すると安心です。
診療中に気分が悪くなった場合はチェアの角度調整や休憩も可能です。妊婦さんの体調を最優先に、歯科医師と一緒に無理のない方法で進めていきましょう。
おうちでできる妊娠初期の歯ぐきケア方法

つわり時の歯磨き対策とおすすめ歯ブラシ
妊娠初期はつわりによって歯磨きがつらくなる方が多く、歯ブラシを口の中に入れるだけで気持ち悪くなる場合もあります。そんなときは、無理をせず「できる範囲で清潔を保つ」ことを大切にしましょう。
たとえば、朝の体調が悪い場合は体調の良い時間帯(多くの方は午前中や夕方)に磨く、ミントの強い歯磨き粉がつらいときは無香料やフルーツ系など刺激の少ないものに変える方法があります。
歯ブラシはヘッドが小さく毛がやわらかいものを選ぶと、歯ぐきへの負担が少なく、つわり中でも磨きやすくなります。どうしても歯磨きができない日は、水や洗口液でゆすぐだけでも、歯垢や酸を減らす効果が期待できます。「完璧に磨くこと」よりも、「続けられる方法を選ぶこと」が妊娠期のケアのポイントです。
食後のうがい・口腔保湿ケアの重要性
妊娠初期は、唾液の分泌が減ったり粘つきが強くなったりすることで、口の中が乾燥しやすくなります。唾液には細菌を洗い流す自浄作用があるため、乾燥すると炎症が起きやすくなり、口臭の原因にもつながります。
食後や起床後、就寝前にはこまめにうがいを行い、つわりで歯磨きが難しいときも「うがいだけは続ける」ことが効果的です。
口腔保湿ジェルやスプレーを活用したり、室内の加湿を行うことで口内の乾燥を防ぐこともできます。小さな習慣の積み重ねによって、お口の環境を良好に保ちやすくなります。
栄養バランスと歯ぐきの健康維持の関係
妊娠初期は食事の好みが変わりやすく、つわりによって偏食になりがちですが、歯ぐきの健康維持には栄養バランスも重要です。歯ぐきや粘膜の修復を助けるビタミンC、骨や歯の形成に必要なカルシウム、炎症を抑えるビタミンEなどを意識的に取り入れると良いでしょう。
野菜、果物、乳製品、小魚、大豆製品などを少量ずつ組み合わせることで無理なく摂取できます。
酸味のある食品を摂った直後は歯が酸に溶けやすいため、すぐに磨かずに水でうがいをして20〜30分ほど置いてからブラッシングするのが安心です。
妊娠期のセルフケアに加えて、歯科医院での月に1回のクリーニングを組み合わせることで、家庭でのケアだけでは取りきれない汚れを除去でき、より安心して口腔環境を保てます。
歯周病が妊娠や胎児に与える影響とは

歯周病菌による炎症性物質が胎盤へ及ぼす影響
歯周病はお口の中だけの問題ではなく、全身の健康とも深く関わっています。妊娠中はホルモン変化により歯ぐきが腫れやすく、炎症が慢性化すると、歯周病菌の作用によって「サイトカイン」や「プロスタグランジン」といった炎症性物質が血流に放出されることがあります。
これらの物質が胎盤に届くと、酸素や栄養の循環に影響を与える可能性があると報告されています。
ただし、必要以上に不安になる必要はありません。妊娠中でも適切なケアや歯科での専門的クリーニングにより、炎症を抑え、健康な状態を維持することは十分可能です。小さな違和感の段階で相談することで、安心して妊娠生活を送ることができます。
早産・低体重児のリスクを高めるメカニズム
歯周病と早産・低体重児出産の関連については研究報告が複数ありますが、現時点では明確な因果関係が証明されたわけではありません。炎症性物質が子宮収縮へ影響する可能性が示唆されているため、口腔の炎症を管理することが推奨されています。
そのため、妊娠初期で歯ぐきの出血や腫れを感じた場合には、歯周病の初期段階が進行している可能性もあるため、早めに状態を確認することが重要です。
痛みが強くない場合でも、歯周病は静かに進行することがあります。定期的な歯科受診や月に1回の専門クリーニングを取り入れることで炎症の管理がしやすく、リスク低減に役立ちます。
妊娠前・妊娠中に歯科健診が重要な理由
妊娠がわかった段階で一度口腔内の状態をチェックすることは非常に有効です。初期の段階で必要なクリーニングや歯石除去を行うことで、妊娠期の炎症悪化を防ぐことができます。
また、妊娠前にお口の環境を整える「プレマタニティ歯科健診」も推奨されており、妊娠中より安全かつ確実に歯周病管理を行いやすいタイミングです。
妊娠中の受診は、症状が悪化してからではなく、体調の良い日や午前中の余裕がある時間帯に行うと安心です。歯科医師のサポートを受けながら無理のないペースで進めることで、母子ともに健康な状態を維持することができます。
妊婦さんが通いやすい歯科医院を選ぶポイント

妊娠中の患者に配慮した設備・対応(体位・空調・滞在時間)
妊娠中は、体調の変化やお腹の大きさにより、長時間同じ姿勢でいることが負担になることがあります。そのため、診療チェアの角度を細かく調整してくれる医院や、必要に応じて横向きの姿勢で診療できる環境が整っている医院は安心です。
また、妊娠中は温度や匂いに敏感になる方も多いため、空調管理や香りへの配慮がある医院だと、落ち着いて診療を受けることができます。
待ち時間が少なく、診療時間を短めに調整してくれる医院であれば、体への負担が軽減されます。予約は体調の良い日や午前中に取り、無理のない範囲で受診することが理想です。
妊婦歯科健診制度の活用と予約時の注意点
自治体によっては、妊婦さんを対象とした「妊婦歯科健診(マタニティ歯科健診)」を無料または補助付きで受けられる制度があります。歯ぐきの腫れや出血、歯石の状態などをチェックすることで、妊娠中に起こりやすい口腔トラブルを早期に発見・予防できる大切な機会です。
受診時には、妊娠週数や体調・服薬状況を伝えることで、身体に無理のない診療計画を立てることができます。
つわりが落ち着く妊娠中期(5〜7ヶ月頃)に行うと受診しやすく、負担が少ないとされています。母子健康手帳を持参することで健診結果の記録や産科医との情報共有にも役立ちます。
医科との連携・母子健康手帳との関係
妊娠中の歯科治療では、産科医との連携が重要です。妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病など、全身状態によって治療中の注意点が変わる場合があるため、母子健康手帳の情報は大切な判断材料になります。
信頼できる歯科医院では、必要に応じて産科へ確認を行い、母体と胎児の安全を最優先に治療が進められます。
不安な点や体調面での希望があれば、遠慮せず相談することで、より通いやすい環境が整います。歯科医院と協力しながら、無理なく継続できるお口のケア体制をつくっていきましょう。
よくある質問(FAQ)で不安を一つずつ解消

「妊娠初期だけど、歯が痛い…治療しても大丈夫?」
妊娠初期はつわりや体調の変化が強く、「歯が痛くても我慢したほうがいいのでは?」と不安に感じる方が多い時期です。しかし、痛みや腫れを放置すると炎症が悪化し、より強い症状を引き起こしてしまうことがあります。歯の痛みは体からの大切なサインであり、適切に対応することで症状の進行を防ぐことができます。
妊娠初期でも、応急的な処置や炎症を抑えるための治療は可能であり、局所麻酔(リドカイン薬剤等)も適切な量であれば安全性が高いとされています。むしろ、強い痛みやストレスを我慢することのほうが、体調に悪影響を及ぼす可能性があります。
受診の際は、体調の良い日や午前中の時間帯に予約を取ると、身体への負担が少なく安心して治療を受けられます。妊娠中の診療経験がある医院では、姿勢の調整や休憩を挟みながら無理なく進めることができます。不安や疑問は遠慮せず伝え、納得できる形で治療を進めていきましょう。
「出血があるけど歯磨きしていいの?」
ブラッシング時の出血は、歯ぐきに炎症が起きているサインであり、決して「磨かないほうが良い」という意味ではありません。歯磨きを控えてしまうと歯垢がさらに蓄積し、出血や腫れ、口臭が悪化することがあります。
出血がある場合は、強くこするのではなく、毛先の柔らかい歯ブラシで歯と歯ぐきの境目を小刻みに優しく磨いてください。少しずつでも清潔な環境を保つことで、炎症は落ち着いていきます。
つわりで歯ブラシを入れるだけで気分が悪くなる場合は、無理をせず体調の良い時間にずらす、ノンミントの歯磨き粉に変更する、うがい薬や洗口液を併用するのも有効です。
出血が長期間続く、腫れが強くなる、口臭が気になるといった変化がある場合は、早めに歯科医院で相談すると安心です。
「出産後に自然に治ることはあるの?」
妊娠中の歯ぐきの腫れや出血は、ホルモンバランスの影響によって起こる「妊娠性歯肉炎」であることが多く、出産後ホルモンが落ち着くことで改善するケースもあります。しかし、炎症が長期間続いて歯周病へ進行している場合は、出産後に自然に治ることはほとんどありません。
出産後は授乳や育児で自分のケアが後回しになりやすいため、改善のタイミングを逃してしまう方も多くいらっしゃいます。
妊娠中からのケアが、出産後の口腔トラブルを防ぐための大切な準備にもなります。月1回の歯科クリーニングや定期チェックを取り入れることで、症状の悪化を防ぎ、安心して日々を過ごすことができます。
「落ち着いたら行こう」ではなく、「少しでも気になることがあれば相談してみる」ことが、長期的に健康を守るための第一歩となります。
歯ぐきの腫れを放置しないためにできる予防ステップ

定期的なプロフェッショナルクリーニングの重要性
妊娠中はホルモンバランスの変化により、歯ぐきの炎症が起こりやすく、歯周病菌が増殖しやすい環境になります。そのため、自宅でのケアに加えて、歯科医院でのプロフェッショナルクリーニング(PMTC)を定期的に受けることがとても重要です。
クリーニングでは、セルフケアでは取り除けない歯石やバイオフィルムを専用の機器で徹底的に除去し、歯ぐきの炎症を抑える効果が期待できます。痛みの少ない処置が中心のため、妊婦さんでも安心して受けられます。
つわりや体調の変動で歯磨きが十分にできない時期もあるため、月に1回のクリーニングを習慣化することで、口腔内の環境を安定させ、安心して毎日のケアを続けられます。
受診時には体調の良い日や午前中の予約を選ぶと身体への負担を軽減でき、リラックスして診療を受けられるためおすすめです。
妊娠中期以降も継続する口腔ケア習慣
妊娠初期だけでなく、中期・後期にかけても継続的な口腔ケアを行うことが大切です。妊娠中期は体調が安定しやすく、お口の状態を整える良いタイミングとなります。また、後期に進むにつれてホルモン分泌がさらに活発になり、歯ぐきの炎症や出血が悪化しやすくなるため、丁寧なブラッシングと歯間ケアが重要になります。
デンタルフロスや歯間ブラシを併用すると、歯と歯の間にたまりやすい歯垢を効率的に除去でき、炎症の予防に役立ちます。
就寝前のケアは特に重要です。睡眠中は唾液が減少して細菌が繁殖しやすくなるため、寝る前にお口をしっかりと清潔に保ちましょう。刺激の少ないフッ素入り歯磨き粉も、むし歯予防に効果的です。
無理をして完璧を目指すのではなく、体調に合わせて続けられる習慣を見つけることが、妊娠期の口腔環境を守るポイントです。
パートナーや家族も一緒に行う感染予防の工夫
歯周病は細菌によって引き起こされる感染性疾患であり、家族間でも菌がうつる可能性があります。妊娠中は免疫力が低下しやすく、普段より感染しやすくなるため、パートナーや家族も一緒にお口のケアを行うことがとても大切です。
食器や歯ブラシの共有を避ける、口移しでの食事を控えるなど、日常の小さな工夫でも感染予防に効果があります。
家族全員が定期的に歯科健診を受け、口腔内の細菌を減らす習慣をつけることで、家庭全体で歯周病リスクを抑えることができます。
妊婦さんだけが努力するのではなく、周囲の協力体制を整えることで、心身の負担を軽減し、より安心して出産を迎えられる環境をつくることができます。家族の支えは大きな安心感にもつながります。
妊娠とお口の健康を守るために今できること

「妊娠だから仕方ない」と思わずに早めの相談を
妊娠初期に見られる歯ぐきの腫れや出血は、ホルモンバランスの変化による一時的な反応であり、多くの妊婦さんが経験するものです。しかし、「そのうち治るだろう」と自己判断で様子を見るだけでは、炎症が悪化し、歯周病へ進行してしまうケースもあります。
歯周病は痛みの少ないまま進行するため、気付いたときには症状が進んでいることも少なくありません。軽い段階でケアを始めることで、治療の負担を大きく減らすことができ、安心して妊娠生活を送ることにつながります。
気になる症状がある場合は、無理をせず体調の良い日や午前中に受診することで、負担を最小限にしながら相談できます。近年では、妊娠中の診療に慣れた歯科医院も増えており、妊婦さんの身体状況に合わせて治療ペースを調整してくれます。まずは軽い気持ちで相談し、安心につなげましょう。
歯ぐきの変化は身体のサイン — 放置せず専門医へ
妊娠性歯肉炎や歯周病の初期段階は、痛みが強くないため「大丈夫」と見過ごされやすいのが特徴です。しかし、炎症が長期化すると歯を支える骨にまで影響し、出産後も続く慢性歯周病へ移行する可能性があります。
さらに、妊娠中は免疫力が低下しやすいため、通常よりも症状が進みやすい傾向があります。妊娠期の身体の変化を「特別なサイン」と捉え、早めにケアを行うことが母体と胎児の健康を守ることにつながります。
自宅ケアだけで頑張ろうとせず、歯科での月に1回の専門クリーニングを取り入れることで、セルフケアだけでは除去しきれない汚れを効果的にケアし、炎症の進行を防ぐことができます。定期的なプロのサポートがあると、精神的にも安心感を得られるという声も多く聞かれます。
健やかな妊娠期を支えるための歯科の役割
歯科医院は、妊娠中の口腔環境を整え、症状を悪化させないための大切なパートナーです。妊娠中期の安定した時期には、歯石除去やクリーニング、軽度の治療も安全に行うことができ、妊娠後期や育児期に備えてお口の状態を整える良い機会となります。
また、歯科医師は妊娠中の体調やホルモン変化を理解した上で、姿勢や治療時間、使用する薬剤などに細やかに配慮して診療を行います。
出産後は授乳や育児で自分のケアが後回しになりやすいため、妊娠中に整えておくことは将来の自分への大きな支えとなります。お口の健康は、お母さん自身の生活の質だけでなく、将来のお子さんの虫歯発症リスクにも影響するといわれています。
妊娠中の歯科受診を「特別なこと」ではなく、健やかな妊娠期を支えるためのひとつの健康習慣として取り入れ、自分のペースで無理なく続けていきましょう。
監修:愛育クリニック麻布歯科ユニット
所在地〒:東京都港区南麻布5丁目6-8 総合母子保健センター愛育クリニック
電話番号☎:03-3473-8243
*監修者
愛育クリニック麻布歯科ユニット
ドクター 安達 英一
*出身大学
日本大学歯学部
*経歴
・日本大学歯学部付属歯科病院 勤務
・東京都式根島歯科診療所 勤務
・長崎県澤本歯科医院 勤務
・医療法人社団東杏会丸ビル歯科 勤務
・愛育クリニック麻布歯科ユニット 開設
・愛育幼稚園 校医
・愛育養護学校 校医
・青山一丁目麻布歯科 開設
・区立西麻布保育園 園医
*所属
・日本歯科医師会
・東京都歯科医師会
・東京都港区麻布赤坂歯科医師会
・日本歯周病学会
・日本小児歯科学会
・日本歯科審美学会
・日本口腔インプラント学会
カテゴリー:コラム 投稿日:2025年11月27日