重度歯周病で歯がグラグラしている…抜歯と歯周組織再生療法、どちらを選ぶか
「抜くしかない」と言われ、本当にそれだけなのか気になっていませんか
グラグラする歯を前に感じる「あきらめたくない」という気持ち
歯がグラグラしている状態で「抜くしかありません」と告げられたとき、その言葉をすぐに受け入れられない方は少なくありません。歯を1本失うことが、食事のしやすさや見た目、そして日常の会話にまで影響するという現実を、多くの方が直感的に感じ取っているからでしょう。
「本当に抜くしか方法はないのか」という問いは、決して治療に抵抗しているわけではなく、自分の口の中で何が起きているのかをきちんと理解したいという、ごく自然な姿勢から生まれるものです。重度の歯周病であっても、歯の状態や骨の残り具合によっては、歯を残す方向で検討できるケースがあることが知られています。その可能性を確かめずに決断することへの躊躇は、むしろ冷静な判断力の表れと言えるでしょう。
セカンドオピニオンを考え始めるきっかけ
「抜歯しかない」と言われた後でセカンドオピニオンを考えるきっかけは、人によってさまざまです。インターネットで調べるうちに「歯周組織の再生」「保存治療」といった言葉に出会い、自分のケースにも当てはまるかどうか気になり始めた——そういった経緯をたどる方が多いようです。
あるいは、かかりつけの歯科医師から丁寧な説明を受けたものの、「どの程度の状態なのか」「骨はどのくらい残っているのか」という具体的な根拠を十分に把握できないまま判断を迫られているように感じている方もいます。治療の選択肢を比較するためには、現在の歯と骨の状態を客観的に把握することが出発点になります。診断の根拠を別の視点から確認することは、より納得のいく治療判断につながる場合があります。
「歯を残す選択肢」を調べるのは決して間違いではない
重度歯周病の治療方針は、歯の揺れの程度だけでなく、歯根の長さや形、骨の吸収パターン、患者さん自身のセルフケア能力や全身の健康状態など、複数の要素を総合して判断されます。同じ「グラグラしている」という状態であっても、骨がどの方向にどの程度吸収されているかによって、保存を検討できる余地は変わってきます。
「歯を残す選択肢を調べたい」という行動は、治療への前向きな関与であり、医療の意思決定において患者さんに本来求められる姿勢でもあります。一方で、保存が難しい状態を無理に引き延ばすことで、隣接する歯や骨に影響が及ぶリスクがあることも事実です。だからこそ、感情的な「残したい」という希望と、客観的な診断情報を照らし合わせながら判断するプロセスが、歯科医師との対話の中で求められます。
重度歯周病が引き起こす「骨の喪失」とは何か
歯周病が進むと歯槽骨はどうなるのか
歯周病が中等度から重度へと移行する過程で起きる最大の変化は、歯を支える骨——歯槽骨(しそうこつ)の吸収です。歯周病菌が出す毒素が歯肉の免疫反応を刺激し続けることで、骨を壊す細胞(破骨細胞)の活動が慢性的に高まります。その結果、骨は少しずつ、しかし着実に失われていきます。
骨吸収のパターンには大きく2種類あります。歯根の周囲が均等に溶けていく「水平性骨吸収」と、特定の部位が深く掘れるように吸収される「垂直性骨吸収」です。垂直性骨吸収は歯根の一部を囲む骨壁が残っているケースがあり、この残存骨壁の状態が、後の治療選択に大きく影響します。骨吸収の形態は、レントゲンや歯科用CT(コンピュータ断層撮影)を用いることで、より立体的かつ詳細に把握できます。
グラグラする歯に起きていること
歯がグラグラと動く状態は、歯と骨をつなぐ歯根膜(しこんまく)への支持力が失われていることを示しています。正常な状態では、歯根膜が歯と骨の間でクッションの役割を果たし、噛む力を骨全体に分散させています。ところが歯槽骨の吸収が進むと、この支持構造そのものが縮小し、歯は本来の安定を失います。
グラつきの程度は、動揺度として歯科的に評価されます。指で軽く押して1mm未満の揺れが1度、1〜2mm程度が2度、さらに上下方向にも動く場合が3度とされています。動揺度が高いほど骨の支持が失われていることを示しますが、グラつきの大きさだけが治療の可否を決めるわけではなく、残存する骨の量や形態、歯根の長さとのバランスが複合的に判断されます。「揺れているから即抜歯」とは必ずしも言えないという点は、重要な視点です。
重度歯周病の進行段階と骨吸収の関係
歯周病の進行段階は、歯周ポケット(歯と歯肉の境目にできる溝)の深さや骨吸収の程度によって分類されます。軽度では骨吸収が歯根の上部3分の1程度にとどまりますが、重度になると歯根の下半分以上まで骨が失われるケースも見られます。歯根の長さに対して残存骨量が少なくなるほど、歯を支える力は急激に低下します。
骨吸収が歯根の先端(根尖)付近にまで達した状態は、治療の難易度が大きく上がります。一方で、骨吸収が深くても「縦方向に深い垂直性骨吸収」であれば、骨壁の残り方によっては組織の再生を目指した治療が検討される余地があるとされています。重度歯周病であっても、骨がどのような形で失われているかという「吸収パターン」の評価が、保存治療の可能性を左右する判断材料のひとつになります。かかりつけ医の診断に疑問を感じた場合、精密な画像評価を含む再評価を受けることが、選択肢を整理する出発点になります。
抜歯を勧められる理由と、歯科医が診ているポイント
歯科医が抜歯を判断する3つの医学的指標
歯科医が抜歯を勧める背景には、主に「歯根の破折」「歯槽骨(しそうこつ:歯を支える顎の骨)の吸収量」「歯周ポケットの深さ」という3つの指標があります。これらが複合的に悪化しているとき、保存治療による機能回復が見込みにくいと判断されることがあります。
歯根が縦に割れているケースでは、どれだけ清掃を徹底しても感染源が除去できず、周囲の骨へのダメージが続く状態になります。歯周ポケットが10mmを超えるような深い場合も、器具によるプラーク除去そのものが難しくなるため、治療の効果が出にくいとされています。
「抜くしかない」と言われたとき、どの指標が根拠になっているのかを確認することが、次の判断につながります。理由が明確であるほど、セカンドオピニオンでも比較検討しやすくなります。
歯根の状態・支持骨の残量が判断を左右する理由
骨吸収が歯根の先端(根尖部)付近にまで達している場合、歯を支える構造がほとんど失われた状態といえます。この段階では、歯周組織の再生を目指した治療を検討しても、再生のための足場となる骨が不足しているため、適応が難しくなることがあります。
一方、骨吸収が歯根全体の半分以下にとどまっており、歯根自体に破折がないケースでは、外科的なアプローチで組織の改善を試みる余地が残っているという見方ができます。支持骨の残量は、CTなどの精密な画像検査によって立体的に把握することで、より正確に評価できるとされています。
「どのくらい骨が残っているか」という情報は、保存か抜歯かの分岐点において非常に重要です。二次元のレントゲンだけでは見えにくい骨の厚みや形態も、評価精度に影響することがあります。
全身疾患・服薬状況が治療選択に影響するケース
口腔内の状態だけでなく、全身の健康状態や服薬状況も、治療方針の選択に影響を与える場合があります。たとえば、血糖コントロールが不安定な糖尿病の状態では、歯周組織の治癒反応が低下することが知られており、外科処置後の回復に影響が出やすいとされています。
骨粗しょう症の治療薬として使われるビスホスホネート製剤を服用中の場合、抜歯や外科処置に際して特別な配慮が求められることがあります。服薬期間や投与経路によってリスクの程度が異なるため、歯科医と担当内科医が連携しながら方針を検討するのが一般的です。
治療の選択肢を広げるためには、口腔内の検査と並行して、服薬中の薬や全身疾患の状況を歯科医にあらかじめ伝えておくことが、正確な判断につながります。
「歯周組織の再生」という選択肢が検討される条件
保存治療・外科処置が検討される歯の状態
重度歯周病であっても、失われた歯周組織の回復を目指した外科的なアプローチが検討されるケースがあります。歯を支える骨(歯槽骨)の吸収が進んでいても、歯根の一定程度が骨に支持されており、歯根自体に亀裂や重篤な病変がない状態であれば、まず保存を前提とした治療計画が立てられることがあります。
判断の際に重視されるのは、骨の「残り方の形状」です。骨吸収が垂直方向(歯根に沿って深く進む形)に生じている場合、水平方向に広く浅く失われている場合と比較して、外科処置による組織の改善が試みやすいとされています。この形状の違いは、CTや精密なX線検査によって初めて正確に把握できます。
加えて、歯の動揺度(揺れの程度)も評価の対象です。揺れが認められても、その原因が骨吸収と炎症に由来している場合、炎症のコントロールと組織の回復によって安定が期待できる余地があります。揺れがあること自体が、直ちに抜歯の理由にはならないという視点は、歯を残す可能性を探る上で押さえておきたいポイントです。
再生を目指した治療アプローチの基本的な考え方
歯周組織の再生を目指した治療は、細菌感染によって失われた骨や歯根膜(しこんまく:歯と骨をつなぐ組織)などの回復を促すことを目的とした外科的なアプローチです。歯周病ページでも「失われた歯周組織の再生」「再生手術」への言及があるように、重度歯周病の治療において一つの選択肢として存在する考え方です。
ただし、再生を目指す外科処置は、感染源であるプラークや歯石の徹底的な除去を前提とします。スケーリング・ルートプレーニング(歯根面の清掃処置)などの基本治療で炎症が落ち着いた状態を確認してから、外科処置の適応かどうかを評価するのが一般的な流れです。感染が残ったままでは、組織の回復を期待しにくいためです。
再生療法で用いる材料や術式の種類は複数あり、どのアプローチが適しているかは骨欠損の形態・深さ・範囲によって異なります。「再生療法という言葉を聞いたが、自分の歯に当てはまるかどうかわからない」と感じるのは自然なことで、適応かどうかは精密検査の結果を基に個別に判断されます。
再生療法の適応が難しくなる骨吸収の程度
骨の吸収が歯根の先端近くまで到達している場合、再生を目指した外科処置の適応は限られてきます。歯槽骨の支持がほぼ残っていない状態では、組織の回復を促す土台そのものが不十分なため、外科処置によって改善を図ることが難しくなります。これが「保存できる骨が残っているか」という点が判断の核心になる理由です。
骨吸収が広範囲に水平に進み、複数歯にまたがって歯槽骨が平坦に失われているケースも、再生療法の適応としては難しいことがあります。垂直型の骨欠損と比べ、骨壁が少なく再生の足場となる構造が乏しくなるためです。こうした状態の見極めには、平面的なX線像だけでなく、立体的な骨の形状を把握できる検査が重要な役割を担います。
全身疾患のコントロール状態や喫煙習慣も、適応判断に影響を与える要因として知られています。血糖コントロールが不安定な場合や喫煙が続いている場合、術後の組織回復に影響が出る可能性があるとされており、外科処置前に生活習慣の改善を求められることがあります。「再生できるかどうか」は歯の状態だけでなく、全身の状態とも密接に関わっています。
歯周外科処置の流れと治療後に求められるもの
スケーリング・ルートプレーニングから外科処置までの段階
歯周治療は、いきなり外科処置に進むのではなく、まず感染源の徹底的な除去から始まります。スケーリング(歯石除去)とルートプレーニング(歯根面の清掃・滑沢化)によって、歯と歯肉の境目に蓄積した歯周病菌や歯石を取り除き、歯肉の炎症を鎮めることが最初のステップです。
この段階で歯肉の状態が改善し、歯周ポケット(歯と歯肉の間の溝)が浅くなれば、外科処置なしで経過観察に移行できるケースもあります。一方、ポケットが深いまま改善しない場合や、骨の形態的な問題が残る場合には、歯肉を切開して直接清掃・処置を行う歯周外科が検討されます。段階を踏むことで、各患者さんの状態に応じた判断が可能になるのが、この治療プロセスの重要な点です。
歯周外科後のメンテナンスが成否を左右する理由
歯周外科処置を受けても、その後のメンテナンスが不十分であれば、歯周病は再燃する可能性があります。外科によって歯周ポケットが改善された状態は、あくまで「感染しにくい環境を整えた段階」であり、細菌の再定着を防ぐ継続的な管理が欠かせません。
術後のメンテナンスでは、歯科衛生士によるプロフェッショナルクリーニングと歯周ポケットの深さの定期確認が行われます。ポケットの深さや出血の有無を継続的に記録することで、再感染の兆候を早期に把握できます。外科処置後は組織が安定するまでに一定の期間を要するため、この時期のメンテナンスを規則的に続けることが、処置の効果を長期間維持するうえで大きな意味を持ちます。
セルフケア能力が治療計画に与える影響
歯周治療の計画を立てるうえで、患者さん自身のセルフケア能力は治療の方向性に直接影響します。どれほど精度の高い外科処置を行っても、毎日のプラーク(歯垢)コントロールが不十分であれば、歯肉の炎症が再び起こり、せっかく回復した組織の状態が崩れていく場合があります。
歯科医院では、ブラッシング指導を通じて患者さん一人ひとりの口腔内に合った清掃方法を確認します。歯並びや歯の形態によって磨き残しが生じやすい部位は異なるため、個別の指導が有効です。また、喫煙習慣がある場合は歯肉の血流が低下しやすく、組織の回復力に影響を与えることが知られています。セルフケアの質は治療の適応を判断する際の評価対象でもあり、「処置を受けるだけ」では完結しない治療であることを理解しておくことが、現実的な治療計画を立てる基盤となります。
抜歯後の選択肢と「歯を残す」ことの意味を比べる
抜歯後に検討されるインプラント・入れ歯との比較視点
抜歯を選んだ場合、その後の歯の機能をどう補うかという問題が必ず生じます。代表的な選択肢はインプラントと入れ歯の2つですが、それぞれに異なる特性があり、どちらが適しているかは口腔内の状態や全身疾患、生活環境によって変わります。
インプラントは顎骨に人工歯根を埋め込む方法で、天然歯に近い噛み心地を取り戻せる可能性がある一方、外科的処置を伴い、治療期間も数カ月単位になることが一般的です。入れ歯は外科処置を必要とせず短期間で装着できますが、骨が吸収されると適合が変化し、定期的な調整が必要になる場合があります。
こうした点から、抜歯はあくまで「出発点」であり、その後の治療計画を見据えた判断が求められます。歯を失った後の顎骨は荷重を受けなくなることで吸収が進む傾向があり、残存する歯への負担も変化します。
歯を残す治療が長期的な口腔環境に与える影響
歯周組織の保存を目指した治療が成功した場合、天然歯が持つ固有の感覚器官である歯根膜(しこんまく:歯根を歯槽骨に結びつける組織)が維持されます。歯根膜には噛む力を感知してクッション役を担う機能があり、この組織が残ることで咬合(こうごう:上下の歯の噛み合わせ)の安定に寄与します。
一方、歯を失った箇所の顎骨はその後も吸収が続く可能性があり、隣接する歯が傾いたり、咬み合わせ全体のバランスが変化したりするケースが知られています。天然歯を1本でも保存することが、周囲の歯や顎骨の安定を守る布石になる場合があります。
ただし、歯周組織が著しく失われた状態で無理に歯を残しても、炎症源として周囲の組織に影響を与え続けることがあるため、保存できる状態かどうかの見極めが先決です。
どちらを選ぶかの判断に必要な情報を整理する
「抜歯か保存か」という判断は、骨の残量・歯根の状態・炎症のコントロール状況・全身の健康状態といった複数の要素が絡み合っています。どちらが優れているかという一般論ではなく、個々の歯の状態に応じた評価が判断の軸になります。
見落としがちな点として、同じ口腔内でも歯ごとに状態が異なるという事実があります。ある歯は保存の可能性が残っていても、隣の歯は感染源として他の歯に影響しているケースもあります。複数の歯が関与する重度歯周病では、歯単位ではなく口腔全体を俯瞰した治療計画が必要です。
現在の状態を正確に把握するためには、歯周ポケットの深さや骨吸収の程度を詳細に評価できる精密検査を経ることが、判断の精度を高めます。「抜くしかない」という結論に疑問を感じている方は、検査データをもとに改めて評価を受けることで、治療の選択肢が整理されることがあります。
重度歯周病の診断に欠かせない精密検査の役割
CTによる骨の立体的な把握が判断精度を高める理由
重度歯周病において「保存できるか、できないか」の判断は、歯槽骨(しそうこつ:歯を支える骨)の残量と形状を正確に把握することから始まります。通常のレントゲン撮影では平面的な情報しか得られないため、骨の厚みや歯根の周囲にある骨の立体的な状態までは読み取りにくい側面があります。
CTによる検査では、骨の三次元的な吸収パターンを確認できるため、どの方向にどの程度の骨が残っているかを具体的に把握することが可能です。特に歯根の先端付近や隣接歯との骨の境界部分など、平面画像では判断が難しい箇所の評価に有用とされています。こうした立体的な情報が、再生を目指した治療の適応判断や抜歯の決断に影響を与えることがあります。
歯周組織の検査で確認される数値と読み方
CTによる画像診断と並行して、歯周病の診断では「プロービング検査」と呼ばれる歯肉の検査が欠かせません。これは、歯と歯肉の境目にある溝(歯周ポケット)の深さを専用の器具で測定するものです。健康な状態では1〜3mm程度ですが、重度歯周病ではこの数値が6mm以上に達しているケースも珍しくありません。
検査では深さだけでなく、ポケット内の出血の有無、歯の動揺度(ゆれの程度)、歯肉退縮(歯茎が下がっている量)なども記録されます。これらの数値を組み合わせることで、炎症の活動性と骨の破壊がどの段階にあるかを総合的に評価することができます。数値の読み方には歯科医師の経験的な解釈が伴うため、複数の指標を横断的に見ることが判断の精度につながります。
初診時に歯科医が収集する情報の全体像
初診時の検査は、画像や数値データだけで完結するものではありません。服用中の薬(骨粗鬆症治療薬・血液をさらさらにする薬など)や全身疾患(糖尿病・心疾患など)の有無、喫煙習慣、日常のセルフケアの状況といった生活背景が、治療の選択肢や予後の見通しに直結することがあります。
口腔内写真や歯型模型の採取も、経時的な変化を追う記録として機能します。治療開始前後の状態を比較することで、治療の効果や骨の変化を客観的に評価できるためです。初診で収集される情報の幅が広いのは、「抜歯か保存か」という判断が、1つの数値だけで決まるものではなく、患者さんの口腔全体と生活背景を総合して導かれるものだからです。
よくある疑問:再生療法・抜歯・セカンドオピニオンについて
「再生療法を受ければ必ず歯を残せますか?」への答え
歯周組織の再生を目指した治療は、すべてのケースで歯を保存できるわけではありません。再生療法が有効に働くかどうかは、骨吸収の程度・歯根の形状・歯の動揺度・感染のコントロール状況など、複数の条件が重なって判断されます。
骨の吸収が歯根の先端付近まで達していたり、歯根が縦方向に割れていたりするケースでは、再生を試みても組織の回復が見込みにくい場合があります。一方、骨の喪失が一定範囲にとどまり、かつ周囲の歯周環境をコントロールできていれば、外科処置を検討する余地が生まれることもあります。
重要なのは、「再生療法=歯を残せる」という図式で考えないことです。精密な検査によって現在の骨の状態を立体的に把握し、どの範囲まで組織が残っているかを確認した上で、治療の方向性が判断されます。
「セカンドオピニオンはかかりつけ医に失礼ですか?」への答え
セカンドオピニオンを求めることは、医療において患者さんに認められた正当な権利であり、かかりつけの歯科医師に対して失礼にはあたりません。重度歯周病のように、歯を残すか抜くかという大きな治療方針の判断が必要な局面では、複数の専門家の見解を確認することが、患者さん自身の納得につながります。
「抜歯しかない」と言われた後に、別の医療機関で改めて状態を評価してもらうことで、同じ診断が確認されてかえって安心できるケースもあります。また、骨や歯根の状態によっては、追加の検査や外科的なアプローチを含む選択肢が提示される場合もあります。
セカンドオピニオンの目的は、現在の担当医を否定することではなく、自分の口腔の状態をより深く理解し、納得した上で治療を選択することです。歯の喪失は取り返しのつかない変化であるだけに、判断の前に情報を揃えることは理にかなった行動と言えるでしょう。
「治療を始めるタイミングはいつが適切ですか?」への答え
重度歯周病において、治療開始のタイミングが遅くなるほど、歯を保存できる可能性は狭まっていく傾向があります。骨の吸収は炎症が持続する限り進行するため、「もう少し様子を見てから」という期間が、実際には骨の消失を積み重ねている期間になりえます。
一方で、「すぐに手術をすれば解決する」という単純な話でもありません。外科処置の前には、歯石や感染源を取り除くスケーリング・ルートプレーニング(歯根面の清掃)を行い、炎症をある程度落ち着かせる段階が必要です。この準備段階を経ることで、外科処置の効果が発揮されやすくなります。
歯がグラグラしている、出血や違和感が続いているといった自覚症状がある場合は、その時点でCTを含む精密検査を受け、現在の骨の残量と炎症の範囲を確認することが、治療方針を決める出発点になります。「痛みがないから大丈夫」という判断は、歯周病の性質上、現状を過小評価するリスクをはらんでいます。
重度歯周病の治療を任せる歯科医院を選ぶ視点
歯周病専門医・認定医の在籍と診療実績の確認
重度歯周病の治療先を選ぶうえで、歯周病を専門領域とする歯科医師が在籍しているかどうかは、治療の幅と精度に直結する判断材料です。歯周病専門医や日本歯周病学会の認定資格を持つ歯科医師は、骨吸収の程度や歯周ポケットの状態から治療方針を組み立てる訓練を積んでいます。
「抜歯しかない」という診断が出た場合でも、歯周病を深く扱う歯科医師であれば、保存の可能性を含めた多角的な評価を行える場合があります。資格の有無だけで治療の質が決まるわけではありませんが、在籍する歯科医師の専門性と学術的背景は、医院を選ぶ際の一つの目安となるでしょう。愛育クリニック麻布歯科ユニットでは、日本歯周病学会専門医の資格を持つ歯科医師が在籍し、重度歯周病の治療に携わっています。
精密検査と歯周外科処置への対応範囲
重度歯周病の治療においては、歯科用CTや精密な歯周組織の検査によって骨の残量や吸収の範囲を立体的に把握できるかどうかが、治療計画の精度を大きく左右します。レントゲンのみに頼った診断では、骨の三次元的な状態を見落とすリスクがあり、保存可能かどうかの判断に誤差が生じる場合があります。
加えて、スケーリング・ルートプレーニングといった基本的な歯周治療から、歯周外科処置や歯周組織の再生に関する対応まで、段階的に取り組める診療体制が整っているかも確認しておきたいポイントです。処置の一部だけに対応し、難しい場面で紹介になるような医院と、幅広い段階に対応できる医院では、治療の継続性が異なります。歯周病の治療は一度きりではなく、段階を追って進めていく性質があるため、対応範囲の広さが長期的な安心感につながります。
長期メンテナンス体制と通いやすい環境
歯周病治療の成否は、外科処置の腕前だけでなく、その後の定期的なメンテナンスをどれだけ継続できるかにかかっている部分が大きいといえます。歯周組織が改善した後も、プラークコントロールの状態や歯周ポケットの変化を定期的に確認しなければ、再発のリスクを管理することができません。
歯科衛生士によるプロフェッショナルクリーニングやブラッシング指導を、長期にわたって継続して受けられる体制があるかどうかも、医院選びの重要な視点です。加えて、50〜70代の患者さんにとっては、通院しやすい立地や診療時間の使いやすさも現実的な選択基準になります。治療の質と通いやすさが両立している環境であってこそ、長期的な口腔健康の維持が実現しやすくなります。
諦める前に、一度状態を確かめてみませんか
この記事で押さえておきたい重要な視点
「抜くしかない」という判断は、すべての歯周病ケースに一律に当てはまるわけではありません。重度歯周病において抜歯が適切な選択肢となるケースは確かに存在しますが、歯根の残存状態・支持骨の量・炎症のコントロール可否によっては、歯周外科処置や歯周組織の再生を目指した治療が検討の俎上に乗る場合もあります。
この記事で繰り返し触れてきたように、治療方針を決めるうえで欠かせないのは精密な検査です。グラつきの程度だけで判断するのではなく、CTによる骨の立体的な評価や歯周ポケットの深さ、根分岐部の状態など、複数の指標を組み合わせることで、はじめて「保存できるか」「できないか」の判断軸が定まります。一度の診断で諦めてしまう前に、その判断の根拠がどこにあるのかを確認することは、治療選択において意味のある行動です。
重度歯周病に向き合う当院の診療姿勢
愛育クリニック麻布歯科ユニットでは、歯周病治療を医院の中核領域のひとつとして位置づけています。スケーリング・ルートプレーニングといった基本処置から、状態に応じた歯周外科処置の検討まで、段階的なアプローチで患者さんの口腔環境に向き合います。院内にはCT・レントゲンを備え、骨の状態を立体的に把握したうえで治療計画を組み立てることが可能です。
担当医師には日本歯周病学会の専門医・所属学会員が在籍しており、歯周組織の評価や外科処置の適応判断についても専門的な知見を持って対応しています。「歯を残す可能性があるかどうかを、根拠を持って判断してほしい」という患者さんの声に対して、チームとして真摯に向き合う体制を整えています。チーム医療の観点から歯科医師・歯科衛生士が連携し、治療後の長期メンテナンスまでを見据えた診療を心がけています。
セカンドオピニオンを検討している方へ
現在かかりつけの歯科医院で「抜歯しか方法がない」と伝えられ、その判断に疑問を持っている方は、状態を別の視点から確認する機会を持つことが選択肢のひとつとして考えられます。セカンドオピニオンは、現在の担当医師を否定するものではなく、治療方針を自分自身で理解して決断するためのプロセスです。歯を失うことは口腔内全体の環境変化に直結するため、納得したうえで進めることが長期的な口腔の健康につながります。
愛育クリニック麻布歯科ユニットでは、重度歯周病の診断・治療の相談に対応しています。「本当に抜くしかないのか」「再生療法の対象になり得るのか」といった疑問を抱えている方は、現在の状態を正確に把握するところから始めることができます。港区南麻布という立地から、広尾・麻布十番・白金エリアで歯科医院をお探しの方にもアクセスしやすい環境です。気になる症状がある方は、一度当院にご相談ください。
監修:愛育クリニック麻布歯科ユニット
所在地〒:東京都港区南麻布5丁目6-8 総合母子保健センター愛育クリニック
電話番号☎:03-3473-8243
*監修者
愛育クリニック麻布歯科ユニット
ドクター 安達 英一
*出身大学
日本大学歯学部
*経歴
・日本大学歯学部付属歯科病院 勤務
・東京都式根島歯科診療所 勤務
・長崎県澤本歯科医院 勤務
・医療法人社団東杏会丸ビル歯科 勤務
・愛育クリニック麻布歯科ユニット 開設
・愛育幼稚園 校医
・愛育養護学校 校医
・青山一丁目麻布歯科 開設
・区立西麻布保育園 園医
*所属
・日本歯科医師会
・東京都歯科医師会
・東京都港区麻布赤坂歯科医師会
・日本歯周病学会
・日本小児歯科学会
・日本歯科審美学会
・日本口腔インプラント学会
カテゴリー:コラム 投稿日:2026年6月25日